FANTASMAGORIA/PASSOVER(From Italy)/MARGARET MAGGIE 10月14日(木) 吉祥寺シルバーエレファント ライヴレポート

FANTASMAGORIA
PASSOVER(From Italy)
MARGARET MAGGIE

10月14日(木)
吉祥寺シルバーエレファント


というわけで、行ってまいりました。秋のマニアック来日シリーズ?@シル・エレということで、イタリアのユニークなシンフォニック・バンド:PASSOVERが何と来日。ユダヤ・フォーク/トラッドと、PINK FLOYD系叙情派サウンドを融合した作風で聴かせる彼らは、日本では無名ですが、実はイタリアはトリエステで例年行なわれているプログレッシヴ・フェスの主催者だとのことです(アヴァロンからDVDリリースされた、NEW TROLLSの『Concert Grosso Live』のアレが、同フェスでの演奏。野外会場でしたね)。そのフェスに今度出演するFANTASMAGORIAがホスト(前日はCICHLA TEMENSIS)となり、彼らと共演という、言わば交換来日という形な訳でした。この日は、ヴァイオリンフロントの新鋭バンド:MARGARET MAGGIEも登場して、充実の3バンド対バン・ライヴとなりました。同日、高円寺での高円寺百景のライヴとバッティングしてしまった為か、客入りは若干立ち見が出る程度でしたが、盛り上がりは十分感じられましたね!

≪MARGARET MAGGIE≫
Goa Natsuki(el-vln)
Tully Acts(g)
Frank Furtua(dr)


Margaret Maggieまず登場は、東京プログレッシヴ・シーン注目の若手3人組:マーガレット・マギー。若手と言っても随分と幅が広い(笑)この世界にあって、彼らは本当に若くて、全員20代前半という有望な男子(某メンバーは、ワールド・ディスクのご近所のG大学の学生さん!)左よりエレクトリック・ヴァイオリン、ドラムス、ギターの並びで、ベースレスな編成ですが、ベース・パートはオクターバーでカヴァー。元々はケルト/トラッド系の強いサウンドで。昨年より、よりソリッドなハード・プログレッシヴ・スタイルになっていったという彼ら。私メは初見でしたが、ほぼ定刻通りにスタートした演奏は、複雑なキメもカッチリとこなす、タイトかつパワフルなものでした。予想よりも、メタリックなFAIRPORT CONVENTION系というか、実はヴァイオリン担当氏はMESHUGGAH好きだったりするという、<プログレ・メタル以降>のセンスでのケルト・ロックといった趣が感じられました。ペダルも踏みまくって、広がりのあるヴァイオリン・ワーク、シンバル・ワークがマイク・ポートノイっぽくもあるドラムス、UNIVERS ZERO好きというだけに、暗黒/ヘヴィな面で活きてくるギター。現在リリースされているスタジオ録音のCD-R(VITALより発売中、当店にも入荷中)では、曲によってトラッド/クラシカル風味と、ヘヴィ・チェンバー寄りのところが分かれてしまっていた印象もあったのですが、そうした印象はライヴでは無い反面、曲毎の色付けはやや薄まっていたかもしれません。まだ音源も定着していませんし、インストな訳ですから、ちょっとしたことですでど、細かめにMCで曲名と、成り立ちなりイメージ的な事を入れてみるのも手ではないかと思いました。この日はメドレーの3曲を含む、全6曲。約35分と短めのセット。時にデヴィッド・クロス的な泣き、時に凶暴なダリル・ウェイ?なプレイを展開するヴァイオリンは、フロントとして十分魅力的。ケルト~エスノ・トラッド的な面で押していくと面白い、と私メは感じた次第です。ステージングにカタさはありましたが、演奏力は高いですし、音楽性の伸びしろの豊富さという点でも、今後の活動に注目&期待したいですね!

≪PASSOVER≫
Ellen Garfield(vo)
Davide Casali(el-b.cl.vo)
Alessandro Kolo Colombo(dr.vo)
Samuel Orlando(kbd.vo)
Eliana Cargnelutti(g)


passover sacrifice約15分のインターバルを経て、2番手でPASSOVERが登場。ユダヤの祭りの名から採ったというバンド名だけに、メンバーは全員ユダヤ系と思われ、女性リード・ヴォーカリストのみアメリカはボストン在住で、そちらから来日したようですが、リーダーは、作詩作曲も手がける ベース/クラリネットのダヴィデ・カサリのようで、ヒゲに帽子の、ちょっと僧っぽい?見てくれも含めて、ステージをリードしていました。この日、とりわけ目を引いた、ステージ左端の女性ギタリストはアルバムには参加しておらず、ステージのみのサポートのようでした。07年の1st『Passover』に続く、完成したばかりの2nd『Sacrifice』からの曲を中心に(ほぼ全曲)、正しくユダヤ・フォーク調のメロディと、PINK FLOYD系列の、ゆったり叙情的なシンフォニック・サウンドを活かした、どこかノスタルジックで、ほのぼのとした演奏を展開してくれました。ステージ上でインパクトを放ったのは、何というか…肝っ玉母さん的な、ゴイスー体型(失礼)の女性シンガー:エレン・ガーフィールドさん。実際のキャラも、おっかさん的優しさがあったとのことですが、オペラティックというわけでもなく、しかし朗々と、切々と歌う英語ヴォーカル(2ndには一部ヘブライ語の曲もありますが)の歌声は、印象に残るサビの数々("Sacrifice" "The Knife" "Why?"など)も相まって、コンパクトな歌物としてイイ感じを創出していましたよね。アコギの使用はなかったので、思ったほどフォーキーでもなかったんですが、時折入る泣きのピアノと、ここぞというところで炸裂するクレズマー風?クラリネットが、何とも言えない哀愁を感じさせました。たどたどしくも、"神秘"風のしゃがみエフェクトなども出して力演のギター。"ユージン"調やら"狂ったダイアモンド"調やら、オルガンからシンセまで、らしい音色のキーボードと、やはりフロイドの影響は明らか。いわゆるテクニック主義の視点で見れば、キビしいと言わざるを得ないですが、適度なヘタウマ感とキワモノ的味わいは、マニア好みのテイストに溢れていて十分魅力的でした。所々での激しい切り返しにはイタリアン・ロックらしさもありましたし。充実の8曲、約50分でした。ちなみに、当日会場で販売されていた2ndアルバム『Sacrifice』は、恐らくワールド・ディスクにも後々入荷すると思われますので、興味のある向きは是非チェックしてみて下さいませ。

≪FANTASMAGORIA≫
藤本美樹(vln)
尾崎淳平(g)
川越好博(サポートkbd)
上田哲也(b)
松尾啓史(dr)


fantasmagoria_day and nightそして、インターバルを挟んで20:55、本日のトリとして、東京が誇るヴァイオリン・プログレッシヴ・バンド、藤本美樹率いるファンタズマゴリアが登場。この日が加入後2回目のライヴだというドラマー:松尾啓史、プログレ・メタル系バンド「軌道共鳴」のメンバーでもある上田哲也(b)のリズム隊に、サポートキーボーディストとしてASTURIASの川越好博という、尾崎淳平以外は1stアルバム『Day And Night』レコーディング時とは異なるメンバーになっていますが。今や風格すら感じさせる、堂々たるアクトを展開してくれました。クラシックを下地としつつ、務めてソリッドに切り込み、時に優美なフレーズを繰り出す藤本女史のヴァイオリンを主役に、過不足ないバランスと、ヘヴィかつダイナミックなバンド・アンサンブルで迫る。クラシカル・ハード・プログレッシヴ的サウンドは、改めて高水準。おなじみ"Crusader"に始まり、1stアルバムのほぼ全曲を、たっぷり聴かせてくれたのでした。DREAM THEATER系らしく5弦のベース、ここぞでワイルドなキーボードプレイも聴いており、時にPLANET Xばりの部分や、JUDAS PRIEST"The Ripper"風のフレーズから、KING CRIMSON"太陽と戦慄 Pt.2"的に展開する"竜頭蛇尾"。ライヴのハイライトにもってこいの、感動的な楽曲"光降り注ぐ丘"など、とにかく曲が良いのですね。テクニックやプレイ自体の質も当然ながら、やはり単純に楽曲の良さというのが、こうしたライヴの場でも大事だよなー、と思った私メです。酔っ払いながらもとっていたメモを見返してみると、「KBBとASTURIASの中間?」「ヘドバン系プログレ?」「ヘヴィなOUTERLIMITS?」「メタリック岸倫仔?」とか何とか色々と書いてありましたが、結局のところ、全部ひっくるめて「FANTASMAGORIAの音」なんですよね。ホントに、しっかりと個性が確立されていますし、方向性も明確で。なんだかやたらと「メタリック」「ヘヴィ」という形容がメモの中にはあったんですけど、ライヴでは、スタジオ以上にそこが魅力として映ったわけです。フロントを引っ張り続ける藤本女史のヴァイオリン・プレイの質たるや、まさに世界クラスで、海外フェスでの人気も頷けます。ホスト的バンドとして、達者な英語MCでPASSOVERへの謝辞も交えつつ、藤本美樹ワールドを存分に味あわせてくれました。これまで何度も彼らのライヴは観ていますが、ベストに数えてもいいくらいの、集大成的とすら言える素晴らしい内容でした。

【セットリスト(FANTASMAGORIA)】
Crusader
Swift Eagle
Omoplatta
Into the Sea
竜頭蛇尾
The Sparrow
Traveling Space
光降り注ぐ丘
Epic

[Encore]
MNK

というわけで、FANTASMAGORIAさんはじめ、出演バンドの皆様、お疲れ様&ありがとうございました!とても楽しく、充実したライヴでした!!
プロフィール

店長 中島俊也

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