年末恒例企画:2011年を振り返る
[2011年 TOPICS]
◎東日本大震災、原発事故、そしてUK来日公演
本年、2011年を語る上では、矢張り3月11日の東日本大震災、及び福島第一の原発事故を避けて通れません。直後のIRON MAIDENはじめ、多くのライヴが中止/延期となるなど、音楽業界にも大きな影響が出てしまいました。まずは改めて、被災された方々にお見舞い申し上げます。
プログレ系の来日公演においては、大変残念ながら、HAWKWINDとAREA with MAURO PAGANIの来日が中止/延期となりました。そうした中で、4月15日(金)、16(土)、17(日)の3日間、クラブチッタで実現した、UK来日公演は、様々な意味でエポックなものとなったと思います。改めて、ジョブソン&ウェットンの両御大と、手下コンビ(笑)マカチェク&ミンネマンに感謝です!
◎第一回イタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェス開催!
という事で来日関係を、ざっと振り返ってみますと

・サイモン・フィン (1/28,1/29)
・UK (4/15,4/16,4/17)
・トニー・ケイ&ビリー・シャーウッド (東京4/23)
・ラッテ・ミエーレ (4/30)
・ヴァルティナ&アラマーイルマン・ヴァサラット (5/28,5/29)
・ブノワ・ムーラン (7/2,7/3 東京)
・THE ARISTOCRATS (東京 7/28)
・カンサス (8/26)
・ウィッシュボーン・アッシュ (8/27)
・プログレッシヴ・ロック・フェス 2011 (8/28)
(カンサス、PFM、ウィッシュボーン・アッシュ)
・ファーマーズ・マーケット (9/5 東京他)
・ピーター・ハミル (9/22,9/23,9/24,9/25)
・フレアーク (10/1 他)
・イタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティヴァル (11/4,11/5,11/6,11/7)
(ザ・トリップ、ゴブリン、イル・バレット・ディ・ブロンゾ、
アルティ・エ・メスティエリ、オザンナ、PFM)
・ラグナロク/ウンダー・バウム (11/26,11/27)
といった所でしょうか。(再編RTFの来日も有りましたが...)
何といってもモニュメンタルだったのは、第一回イタリアン・プログレッシヴ・フェスですね。来る4月には、何とイ・プーをメインとした第二回の開催も決定。楽しみですね!
ちなみに、私メが観に行った範囲での和物ライヴからピックアップしますと
(国内ライヴ)
・SENSE OF WONDER (5/21 下北沢 GARDEN)
・ファンタジー・ロック・フェス 2011 (9/17,9/18 クラブチッタ)(植松伸夫、桜庭統、etc)
・NUOVO IMMIGRATO (10/15 沼袋 SANCTUARY)
・小川真澄バンド (10/30 シルヴァーエレファント)
・シェラザード (11/19 Live Gate)
・KENSO (12/4 クラブチッタ)
・エレクトリック・アストゥーリアス (12/11 屋根裏)
いずれも素晴らしい演奏でしたが、とりわけ12/4のKENSOはGreat!でしたね。国内アーティストではベスト・ライヴに挙げておきたいと思います。難波さん&Angieさんの活躍も光る一年でした!
◎ベル・アンティーク紙ジャケット・シリーズ大充実!



我田引水で恐縮ですが(笑)、我がベル・アンティークの紙ジャケシリーズは、今年も大充実していたと思います。ざっと挙げてみますと、
1月 ・アシュラ・テンぺル
2月 ・ヴァレンシュタイン
3月 ・イタリアン・ロック各種(オパス・アヴァントラ、マクソフォーネ、etc)
4月 ・イタリアン・ロック各種(セミラミス、トリップ)
・モールス・コード
5月 ・エマニュエル・ブーズ
6月 ・モーガン
・イギンボトム
7月 ・ペンドラゴン
8月 ・ニュー・トロルス
・ラッテ・ミエーレ(3rd)
9月 ・アメリカ系各種(アフター・オール、シグムンド・スノペック III、ポリフォニー)
・カーヴド・エア(ラヴチャイルド)
10月 ・カヤック
・オールド・マン・アンド・ザ・シー
11月 ・ミア
・パブロ・エル・エンテラドール
12月 ・セバスチャン・ハーディー
・ウインドチェイス
・マリオ・ミーロ
という事で、特にイタリア系が充実していた印象ですが、ブーズの初CD化もデカかったですねー。お買い逃しなきよう、改めてBAのページをチェックして下さいませ。
◎THE FLOWER KINGS & TRANSATLANTICファミリー、大活躍続く



なんだか毎年書いているような気もしますが(笑)、しかし! 今年も正に、シンフォニック系においては、TFKファミリーの当たり年。エージェンツ・オブ・マーシーと、カーマカニックというスピンオフ兄弟バンドが、すごく近い所で年間ベストを争う、傑作アルバムを共にリリース。トランスアトランティックは'10年ツアーの3CD&2DVDを出し、ニール・モーズは「テスティモニー2」及び同作ツアーのライヴ3CD&2dvdを出し...と、周辺も大賑わいでした。個人的には「長かったで賞」をトランスアトランティック&ニール・モーズに差し上げたい心境です(笑)。ともあれ、AOMの「The Black Forest」は、売上的にも内容的にも、今年のシンフォニック系のトップでした。おっと、THE TANGENTの「COMM」も良かったですね!
◎アルゼンチンものが、とみに充実



さて、地域的なリリース状況に目を向けてみますと、シンフォ/ジャズ・ロック/チェンバー問わず、何故か?アルゼンチンのリリースが充実していた2011年でした。エルメート系+タンゴ・チェンバーのRAFFO、新人ORQUESTRA METAFISICA、サムラ風味の?LA MANZANA CROMATICA PROTOPLASMATICA...って名前長いよ。それはともかく。ひょっとしたら今、ブエノスアイレス辺りでコアなシーンが形成されつつあるのかも?という訳で、特にチェンバー/ジャズ・ロック系のリスナーの方は、しばらく目が離せなさそうですね。フュージョン系のEL CUATRIYOのCDも再入荷しておりますので、要チェックです!
◎レーベル大賞:Altrock

さて、チェンバー系に目を向けますと、イタリアのAltrockレーベルのリリースが際立っていました。今年は、オクトーバー・イクース、スケ・ボッタはじめ、カロミト、ピカピカ・ティート、HUMBLE GRUMBLE、FACTOR BURZACOと、良作・力作が続出。シンフォニック部門のFadingも有りますし、今後のリリースにも期待・大です!レーベル/地域で言えば、フィンランドのPresenceレーベル(TIME TRAVELLER、JEAVESTONE、etc)も目立ちましたね。
◎ピンク・フロイド、リマスター。そしてイエスは、クリムゾンは



いわゆるメジャー/五大バンド系で言えば、今年はピンク・フロイドのリマスター&BOX再発が話題となりました。ド級の「狂気」「炎」ボックスが出た訳ですが、輸入盤はさり気にWDにも入荷しておりますので、思い切っての御購入を(笑)おススメいたします。河出書房新社さんから出たムック本も、チェックですよ。復活は、あまり実現性はなさそうですかねえ?フロイドは。
五大バンドと言えば、クリムゾンは「ア・キング・クリムゾン・プロジェクト」としてのアルバムが出ましたね。ジャッコ、メルコリ入りの、あれはあれで良いアルバムだったと思いますが、クリムゾンそのものとしての活動再開はいつになるのか?フリップ御大の御心しだいでしょう。すっかりメインになっている40周年再発シリーズでは、「暗黒の世界」が出ましたね。あのNYライヴ'73の映像がキレイな画質で入っていて、感動しました。
そして、来年4月には来日も決定したイエス。新voにベノワ・デイヴィッド、kbdにジェフ・ダウンズが復帰したアルバム「フライ・フロム・ヒア」が本年リリースされ、好評を博しました。オリヴァー時代のライヴを収めた「イン・ザ・プレゼント~ライヴ・フロム・リヨン」も絶賛入荷中ですので、来日へ向けての予習・復習、景気づけに、ぜひ。
◎R.I.P.

悲しい話題ではありますが、今年も数々のミュージシャンが、お亡くなりになりました。日本国内ではジョー山中さん、英国ではデヴィッド・ベッドフォードさんが天国へ。最もショックだったのはZAOのフランソワ・カーンさんが7月13日に亡くなった事でした。May You Rest In Peace...。
[2011年ワールド・ディスク売上ベスト]
という訳で、お待たせいたしました。2011年の当店の売上ベスト(全部カンによる)を、部門別に発表いたします。
◎メインストリーム部門



①VAN DER GRAAF GENERATOR / A Grounding In Numbers
②STEVE HACKETT / Beyond The Shlouded Horizon
③JAKSZYK, FRIPP & COLLINS / AS Scarcity Of Miracles
④YES / Fly From Here
⑤STEVEN WILSON / Grace For Drowning
VDGGは、震災直後に輸入盤が入荷してきたこともあって、凄く印象深いですね。イエスは、「ドラマ」好きの私メとしてはツボで、店でもヘビロ。今やメイン扱いの?S.ウィルソンは、想像以上に出来が良くてビックリ。
◎シンフォニック部門



①AGENTS OF MERCY / The Black Forest
②KARMAKANIC / In A Perfect World
③THE TANGENT / COMM
④MOON SAFARI / Lover's End
⑤AFTER CRYING / Creatura
⑥SEAN FILKINS / War And Peace & Other
⑦GLASS HAMMER / Cor Cordium
⑧WHITE WILLOW / Terminal Twilight
⑨WOBBLER / Rites At Dawn
⑩FREDDE GREDDE / Thirteen Eight
次点:IONA / Another Realm
シンフォニック部門は激戦、結果的にはTFKファミリーが上位を占めましたね。広い意味ではファミリーの?ムーン・サファリは、今年の「ブレイク大賞」ですね。アフター・クライングは年末の入荷でしたが、5位に食い込む売れっぷり。国内盤は1/25にベル・アンティークから発売です。イギリス勢では、元BIG BIG TRAINのvoのショーン・フィルキンスの1stソロが大ヒット。ベスト10には入りませんでしたがペンドラゴンやパラスの新作も出ましたね。ともあれ、今年は名実共に「フラキン・ファミリーの年」でした!「新人賞」はFREDDE GREDDEことF.ラーションでキマリ!トータルで見ると、北欧勢の充実ぶりが際立つ一年でしたねー。
◎リイシュー部門



①EMMANUEL BOOZ / 紙ジャケット3タイトル(2nd~4th)
②RODOLFO MEDEROS / De Todas Maneras
③STERN-COMBO MEISSEN / 7CD BOX
④PEKKA POHJOLA / Pewit
⑤MIA / 紙ジャケット3タイトル
紙ジャケットまとめてってのも反則ですが...。まあしかし、今年の目玉は、あのエマニュエル・ブーズ初CD化!でした。予想外にと言ってはナンですが、アルゼンチンのR.メデーロスの名作「De Todas ~」が、さり気にベスト・セラー状態に。シュテルン・マイセンは改めて、傑作ぞろい。再発と言えば、来年1月28日にボンバ・レコードさんより、エグベルト・ジスモンチの「コラソンエス・フュートゥリスタス」が出ます!これは事件ですよー!
◎German Rock / サイケデリック部門



①YOU / Electric City
②TANGERINE DREAM / Zeit (Expanded)
③CAN / Tago Mago (2CD Edition)
サイケ/クラウト部門は、正直不作気味?という事で、再発ものばかりになってしまいました。その中では、実は初CD化で、秘かに売れた(笑)YOUの1stが印象的でしたね。クラウトと言えば、年明け1月25日にはベル・アンティーク紙ジャケ・シリーズで、マニュエル・ゲッチング/アシュラ5タイトル(ニュー・エイジ・オブ・アース、E2-E4、etc)が出ますので、お見逃しなく!
◎Jazz Rock部門



①ONE SHOT / Live In Tokyo
②ENDEL RIVERS / The Jaz Symphony
③MERIDIAN VOICE / A Tipical Symphony
④VINTENA BRASILEIRA / Labirinto
⑤ACCORDO DEI CONTRARI / Kublai
⑥MARK WINGFIELD / Sleeper Street
⑦THE ARISTOCRATS / The Aristocrats
⑧ANTOINE FAFARD / Solus Operandi
⑨CARPATHIA PROJECT / II
⑩BRYAN BELLER / Wednesday Night Live (DVD,CO)
これまた激戦のジャズ・ロック部門は、マグマ直系ヘヴィ・ジャズ・ロック・バンド、ワン・ショットの'10年初来日公演を収めたライヴCDが堂々トップ。大好評の同作は、来年1月25日にベル・アンティークより国内発売が決定しましたので、ぜひ。エルメート・パスコアル・バンドのピアニスト、A.マルケス率いる④も傑作でした。ホールズワース系/速弾き物も人気を集める中、来日も果たしたG.ゴーヴァン、M.ミンネマン、B.ベラーのトリオ、THE ARISTOCRATSがデビューCDを出したのも印象的でしたね。
◎Avant / Chamber部門



①ORQUESTRA METAFISICA / 7 Movimentos
②HUMBLE GRUMBLE / Flanders Fields
③BANG! / Bang!
④OCTOBER EQUUS / Saturnal
⑤RAFFO / Diatonics Anonimos
⑥CAMEMBERT / Schnorgl Attahk
⑦VEZHLIVY OTKAZ / Geese And Swan
⑧CALOMITO / Cane Di Schiena
⑨BREZNEV FUN CLUB / L'onda Vertebrata
⑩CHARLES HAYWARD / One Big Atom
チェンバー部門は、トピックスでもふれたとおり、アルゼンチン系及びAltrockレーベルものが充実。新人ながらトップに輝いた①はじめ、RAFFOなどタンゴ/チェンバー系に近い所が面白かったと思います。チェンバー・ロックと言えば、元祖にして代名詞のユニヴェル・ゼロが来年2月に初来日!そちらもまずは必見でよろしく。再発アイテムでは有りますが、ポケット・オーケストラのエクスパンデッド2CD再発も良かったですねー。
◎和物部門



①ELECTRIC ASTURIAS / Fractals
②ACOUSTIC ASTURIAS / Legend Of Gold Wind
③SCHEHERAZADE / THE ORIGINAL ~Songs For Scheherazade~
④NUOVO IMMIGRATO / Underwater
⑤桜庭統 / After All...
⑥YUKA AND THE CRONOSHIP / Water Reincarnation
⑦KENSO / In Concert (Re-Issue)
⑧UNBELTIPO / Uncle Burnnys Tonges
⑨夜長オーケストラ / 狼とわたし"I,The Wolf"
⑩月兎 / 月兎
という訳で、国内シーンに目を向けますと、今年は「アストゥーリアスの年」でしたね。エレアスもアコアスも各々アルバムを発表し(傑作!)、ライヴ活動も活発でした。エレアスと言えば、2/12(日)のユニヴェル・ゼロ公演の夜の部にオープニング・アクトとしての出演も決定。ノリにノッている現在の彼らの姿を、ぜひライヴでも体験して下さい!⑨にランクインした夜長オーケストラの今後にも要・注目!
ひとまず以上、(DVD部門、トラッド部門は今年はノミネートなし)WD2011年部門別売上ベストでした。買い忘れていた/聴き逃していたタイトルで気になるものがありましたら、ぜひ当店でお求めください!シメのごあいさつはまた改めて、という事で、WDは年内無休で営業しておりますので、御来店のほど、よろしくお願い致します!