LATTE MIELE 初来日公演
4月30日(土)
川崎クラブチッタ ライヴレポート≪メンバー≫マルチェッロ・ジャンカルロ・デッラカーザ(g.vo)
オリヴィエロ・ラカニーナ(kbd)
アルフィオ・ヴィタンツァ(dr.vo)
マッシモ・ゴリ(b.vo)
ルチアーノ・ポルティーニ(kbd)という訳で、行ってまいりました。かの名作
『受難劇』で、イタリア、そしてユーロ・ロック史上に輝く
ラッテ・ミエーレが、奇跡の復活、そして新作
『Marco Polo』をひっさげて初来日、一夜限りのライヴとなった当日、自他共に認める(ウソ)
『Papillon』好きの私メは、トテテトテテ…というイントロを脳内リピートしながら川崎へ向かいました。皆様ご存知の通り、大変残念ながらAREA with マウロ・パガーニ来日公演は中止となってしまいましたが、ラッテミは来てくれました。心配の声も高かっただけに、まずはコンサートが無事行われた事に感謝です。会場に入ると、普段以上に、ワールド・ディスクのお客さん率の高い感じで、ここぞと集結したマニア連により、客席は9割がた埋まっている状況、ライヴ自体演るかどうか、という事が有った為、かけ込みの需要が結構有ったのも確かでしたが、大きな期待感の中、果たして彼らは見事に応える演奏を、たっぷりと展開してくれたのでした。
来日メンバーは、基本オリジナル・メンバーの3人+3rd時のベーシスト、という4人だと思っていたのですが、幕が上がってみると、ツイン・キーボード。向かって左には、ちょっと故.ヒュー・ホッパーさん似の?人がいて、誰かと思いきや、何のことは無い、一時脱退していた3rd期のキーボーディストのルチアーノでした。全体の構成は、大まかには、まず『Marco Polo』から主要曲を演奏、3rdの目玉のインスト大曲
"Pavana"までが前半。約10分の休憩を挟んで、第2部は『受難劇』再現&『Papillon』曲、という形でした。若かりし日に比べれば、見る影も無く(失礼)トシを食ったメンバーの姿には、約40年という月日を考えずにはいられませんでしたが(NEW TROLLS来日公演でも来た、ドラムスのアルフォが、パッと見分かる位?)その当人たちが目の前に居る、という事実もまた、有りがたい事です。話によれば、韓国公演とセットの強行軍だったとのことで、カッチリしていた
『Live Tasting』に比べると、ツイン・キーボードの絡みが聴きとりづらかったり、キメの部分が危うかったりと、ラフな場面も目立ったものの、進むにつれ、さほど気にならなくなっていきました。特筆すべきは、リード・シンガーのマッシモの声の良さ。3rdからのメンバーにも関わらず、基本的にヴォーカルは全て彼だったわけですが、伸びやかかつ爽やかな表現力には、流石イタリア、と、うならされました。あと、最大2枚になる、NEW TROLLSにも負けない見事なコーラス。極めて出来が良かった『Marco Polo』及び
"Visions Of Sunlight"(この曲のみ英語)も含めた楽曲の良さ。そこを、ライヴならではの熱気で聴かせる、という、イタリアン・ロック・バンドならではの世界が広がりました。ギターのヨレっぷり(笑)は昔も今も…という感じですが、特に往年の曲では、ギターも重要だったんだなあ、と再認識。レスポールで泣きを連発したマルチェッロも目立っていましたね。
この日のハイライトとなったのは、当然ながら『受難劇』再現。事前に期待されていた、生の合唱団の投入は、残念ながらありませんでした。この点については、チケットの料金設定ゆえ、私メも「入るんじゃないかね~?」などと言ってしまっていたため、お詫びしたいと思います。「プレミアム・ライヴ」とはすなわち、その価格でも良いから観たい、というお客さんが集まって、もし成功すれば、よりマニアックなアーティストも呼べますよ、的な意味合いだったのかもと思われるわけです。まあ色々と事前の問題もあったでしょうし、若干ガッカリした向きもあったかもしれませんが、良しとしましょう、ここは。いや実際、彼らは本公演の為に特別に録音してきたという合唱パートを使用、『Live Tasting』には無かったナレーションのソースをも加えて、再現度は更に上がっていましたし、多少絵的にサビしいかな、位で、個人的にはさほど気にならなかったです。ステージ向かって右端のオリヴィエロの、パイプ・オルガン風のパートが象徴する、正に荘厳なクラシカル・ロックの真価。"バ・ラ・バ~"のところとか無かったですけど、ほぼ完全再現。いやー、感激しました。何だかアッという間に(改めて、全盛期のイタリアン・ロックのLPって、収録時間が短いですよね?)ハイライトが終了して、続けざまに、「パピヨン」へ。チョコマカとした切り返しの嵐は、少々危険(笑)でしたが、それを言えば、まあ元来テクニックが売りのバンドじゃ無かった訳ですしね。ひたむきに、時に切々と、ピノキオ・チックな愛の人形物語を紡ぐ姿は、かつてEURO-ROCK PRESSのレビューで三浦奈緒美さんが書いた名フレーズ『文化系EL&P』そのもの。やはり泣きのヴォーカル・ナンバーが主役となりますが、「とある新人作曲家の曲を気に入ったので、アレンジして…」といったジョークのMC(そういえば、MCも全てベースのマッシモが担当していました。どうやらメンバーで英語が話せるのが彼だけらしく…)に導かれての、ベートヴェン作"悲愴"も、コテコテにイタリアしていて良かったですねえ。
そんなこんなで、アンコールでは予想外の?『Marco Polo』冒頭曲もプレイ。
"Getzemani"、『Papillon』より
"Rimani Nella Mia Vita"と、華々しく盛り上がる曲を連発して大団円。アンコールからは客席も立ち上がって、大いに盛り上がりました。ルックスも地味なら、派手な動きがあるわけでもない、しかし、ステージ上から目が離せない。改めて楽曲の力と、気持ちのこもったプレイ(アルフィオのドラムスも、後ろのドラ以外は地味、というか控え目でしたが、しっかりとタイトでした)の大切さを身をもって教えてくれた、そんな一夜だったと思います。ふと時計を見やると、スタートから約2時間半、演り切ってくれました。正に「超スーパー・プレミアム」な内容に相応しい、基調にして幸せな時間を、客席の皆さんも過ごす事が出来たのではないでしょうか。素晴らしいコンサートでした。改めて、来てくれたバンドはもちろん、クラブチッタさん、スタッフ・関係者の皆様、そしてお客さん(とりわけ、ワールド・ディスクでチケットを買って下さった方々)に、大いに感謝したいです。プレミアム・ライヴ・シリーズの継続も期待したいと思います。グラッチェ!ラッテ・ミエーレ!
【SET LIST】「1st Set」1. San Marco
2. Carnival
3. Via Si Va
4. I Crociati
5. La Battaglia Di Curzola
6. Pavana
7. Vision Of The Sunlight
「2nd Set」8. Introduzione
9. Getzemani
10. Il Pianto / Il Re Dei Giudei
11. Toccata (Oliviero Lacagnina Keyboard Solo)
12. Il Calvario
13. Il Dono Della Vita
14. Finale
15. Ouverture
16. Primo Quadro: La Fuga
17. Secondo Quadro: Il Mercato
18. Rimani Nella Mia Vita
19. Fantasia Per Chandra (Marcello Dellacasa Classic Guitar Solo)
20. Patetica (including. Alfio Vitanza Drum Solo)
21. 最初にベースがアコースティック・ギターを弾いた曲
「Encore」22. Luciano Poltini Keyboard Solo / Getzemani
23. インスト曲(2ndのB面曲?)
「Encore 2」24. Rimani Nella Mia Vita